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2006年1月30日 (月)

日経社説「医療費明細、無償で出すのが当然だ」1月28日版について

ここ最近10年くらいに開業した診療所はたいていレセコン(レセプトコンピューター)が入っている。ここ5年くらいでは電子カルテを導入している診療所の開業も多くなっている。大規模病院ではレセコンはもちろんのこと、電子カルテの導入も多くなってきた。

レセコンや電子カルテを導入している医療機関は基本的に医療費明細は簡単に出せる仕組みであるし、出しているところが多いのではないだろうか?

医療費明細を出していない医療機関があるとすれば、古くからの開業医、経営基盤の弱い中小病院であろうか?

古くからの開業医はレセコン・電子カルテの時代に乗り遅れている可能性がある。開業医の平均年齢は高い。スタッフの高齢化がIT対応を遅らせている可能性もある。昔ながらの医療事務を手作業でやっていては医療費明細を出すのもままならないであろう。

中小病院ではIT導入費用もままならない。IT設備投資をしても診療報酬には反映されないからでもある。その診療報酬の請求先である健康保険者へは医療費明細どころか、レセプトとして診療行為の全情報が提示されている。一方で診療報酬制度にあわなければ、いくら必要な治療をしてもその費用の請求に対して診療報酬を出してくれないこともある。

そう、医療は国民皆保険経済の下にあるサービス業なのです。

日経の社説で「買ってもらったモノやサービスについて明細を出すのは企業にとってサービスの基本だ」とされているのはごもっともです。しかし、ここで言われるサービス業はサービスの値段を自由に決定できる自由サービス業です。

一方で医療は保険制度の下、値段を自由に決められません。値段は「診療報酬」によって全国一律に決定されています。医療はサービス業でしょうが、価格を自由に決定できないサービス業です。しかもサービスを提供する人材も医師・薬剤師・看護婦など国家資格を得ないと行えないサービス業、つまり規制サービス業です。自由サービス業とは一緒に考えられない側面があります。

こういった状況を踏まえずに一概に、「医療費明細、無償で出すのが当然だ」という一面だけを強調するのはいかがなものでしょうか。

日経社説の最後に「厚労省は複雑で多岐にわたる診療報酬体系を素人にもわかりやすいものに改める努力が必要だ」とされているのはごもっともです。厚労省には期待したいところですが、介護保険では今回の改正で複雑化への一途をたどっています。医療保険も簡素化の方向性が出てきたためしがありません。

複雑化も問題ですし、必要な医療を行っても診療報酬制度で認められない場合があるのも問題です。

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コメント

確かに医療はサービス業ではありません。そもそも「サービス業」とは営利行為であり、医療はそれに馴染みません。また、そうと患者側も信じています。ただ、国の方でも、各種データで「医療サービス」という言葉を使っており、それがマスコミを含めて、サービスという言葉を使っており、問題だと認識しております。

ただ、医療行為がサービス業と似ているのも事実です。ご指摘のように価格設定の自由度を除けば。よって医療明細ぐらいは無料で出したいものです。

また、私のかかっている診療所では大病院同様診療明細は一応出ており、合計金額だけのレシートのみというのは少ないです。また明細を出される診療所は総じて意識も高く優秀だと感じています。

要するに医療側の意識の問題だと思います。今は明細を出すコストなど大したことでないと思います。パソコンと市販のソフトで十分なはずですから。医療者に高い見積もりをして、たかる業者が問題ですね。

投稿: 流風 | 2006年1月30日 (月) 21時12分

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