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2006年4月19日 (水)

ジャスミン茶と朝日新聞4月18日社説「病院の集約は一策だ」について

2006年4月18日の朝日新聞社説「病院の集約は一策だ」に「病院を担う中堅の医師が、きつい勤務に耐えかねて次々と辞める。休みを取りやすく、収入も多い開業医になるためだ。」の記事がありました。文頭にこのような記事があり、朝日新聞記者の先入観を感じました。

病院勤務はきつい場合がありますが、程度には千差万別があります。救急勤務ばかりできつい場合もあれば、当直免除で(あるいは同じ当直でも寝当直で)あまりきつくない場合もあります。医師の不足気味な病院では勤務がきついでしょうが、十分な交代体制のとれている病院では勤務がきついとは限りません。一概に「病院を担う中堅の医師が、きつい勤務に耐えかねて次々と辞める。」と断言するのは違和感があります。ある一面のみを過大に表現する手法は他の面の存在を無視しすぎています。

また、「休みを取りやすく、収入も多い開業医になるためだ。」との記事もありましたが、例えば産婦人科の開業医は開業後も24時間365日オンコール体制で交代制の病院勤務よりきつく、休みも取れません。更に今回の診療報酬改定(改正ではなく改悪?)での在宅療養支援診療所も24時間365日オンコール体制が届出要件とされ病院勤務よりきつくなります。、「休みを取りやすく」といった状況の開業医もいるかもしれませんが、「休みをとりにくい」開業医もたくさんいます。この認識が不足していないでしょうか?

「収入も多い開業医になるためだ。」との記事も現在の開業医事情からかけ離れているものと思われます。ここ数年の開業ラッシュ下での開業では「勝ち組」「負け組」がはっきりとして、開業後に収入が下がる場合も多く、開業のリスクが高くなっています。都市部の開業医過密(競争激化と採算性の低下)と一部地方の開業医不足地域(医師の偏在の助長)のギャップも広がるばかりです。こうした状況の調査が不足している感じがします。

社説内には「地域医療の中心となる病院と診療所の連携を保ちながら配置を見直せば、拠点病院の規模が大きくなり、一人ひとりの意思の負担は減る。診療所を手助けする余裕も生まれる。」との記事もあります。

拠点病院の規模が大きくなると本当に診療所を手助けする余裕が生まれるのでしょうか?拠点病院の規模が大きくなっても医療にスケールメリットはあまり認められません。規模の大きい病院は医師が余るとでも考えているのでしょうか?現在の診療報酬は余剰人員を抱えることが可能なほど甘いものではなく、逆に余剰人員がいては運営できなくなるような厳しい診療報酬制度になっています。

「医療の質を高めながら、医師不足を緩和できるはずだ。」との記事もありますが拠点病院の規模を高めるだけではそれは実現できません。医療の質を高めるには必要なコストをかけなければなりませんが、診療報酬ではそのコストが反映されていません。また医師不足よりも医師の偏在が問題なのです。

朝日新聞記者には偏りのない情報提供を望みたいものです。

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