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2008年6月 1日 (日)

2008年6月1日の朝日新聞記事「接骨院(ケガ3カ所の患者)突出、保険対象外も請求か」について

朝日新聞に「接骨院(ケガ3カ所の患者)突出、保険対象外も請求か」という記事が掲載された。

業界内からも「保険のきくマッサージ施設と勘違いしている利用者を、けが人として扱い、不正請求する柔整師が多いことをうかがわせる」との声がでているという。

本来、柔整師の保険請求が認められるのが「骨折、脱臼、捻挫、打撲、肉離れ」であるとするなら、骨折、脱臼だけでなく捻挫、打撲、肉離れについても医師の同意書を添付していない場合は原則、保険請求を認めないようにすべきであろう。

更には1936年に柔整師の保険請求を認めた理由が厚生労働省の「当時は整形外科が未発達で、柔整師の治療を選ぶ人も多く、患者の利便性を重視した」ということなら、現在は整形外科も増えており、保険請求を認めるような状況でなくなっている現状も考慮しなければならない。

大阪、奈良、徳島(80%以上)、兵庫、福岡、和歌山、京都(58%以上)に3カ所以上の請求の割合が多いと記事になっているが、関西は柔整師の業界団体が強いといわれていることに関係していないだろうか。

近畿大学医学部整形外科の浜西千秋教授によると「マッサージのような行為に公的保険が使われているなら、一番の被害者は保険料を払う国民だ」という。記事によると柔整師にかかった患者の治療費は2005年で3100億円にものぼるという。この費用を医療崩壊の著しい産婦人科・小児科に回せないものか。

柔整師が患者に保険制度を説明するよう促す仕組みが2008年6月からはじまるというものの効果は殆どないであろう。むしろ、柔整師の保険請求には原則、医師の同意書を必須化することが先決であろう。保険者機能を推進する会でも柔道整復部会を設けて、活動をしてはいるようである。

看護師による訪問看護にも医師の指示書が必要になっている。柔整師の「ほねつぎ」にも医師の同意書は必須のはず。それがなされていないのは厚生労働省の怠慢ではないか。少なくとも国民医療費の公表に際し、診療種類別国民医療費に歯科診療医療費、薬局調剤医療費、訪問看護医療費などと同様に柔道整復師・はり師による治療費の項目を設定して管理する必要があろう。

記事では1998年に柔整師の養成学校が14校だったのに、2008年には98校に増えているという。接骨院(整骨院)も2006年までの10年で4割増(3万人超)、柔整師の国家試験合格者も2007年は10年前の5倍近く(5069人)になっているという。こんなに柔整師が必要なのか。この文部省・厚生労働省の無策ではないか。

医療費削減の前に、医療にならない行為の排除や柔道整復師の施術に係る療養費の不正請求の厳格化を徹底的に行なう必要もあるのではないか。平成14年の参議院でも堀 利和氏から「柔道整復師の施術に係る療養費の支給に関する質問主意書」が出されている。小泉純一郎首相の答弁「参議院議員堀利和君提出柔道整復師の施術に係る療養費の支給に関する質問に対する答弁書」もある。

柔道整復師による保険外請求問題は2002年12月にも毎日新聞で指摘されており、旧厚生省が1974年に柔道整復師からの支給申請書の記載の簡素化を認めたため、十分に審査できない状態であることが分かっている。更にこの件に関して会計検査院は「負傷した原因が具体的に記載されていないために、支給の適否を確認できない」と指摘した報告書1報告書2などが2年連続で出されている。これから10年以上たって厚生労働省は同じ問題に直面している。業界に甘い制度を作って放置している可能性もある。

当時の毎日新聞では厚労省調査結果として、2001年10月に柔道整復師がねん挫や打撲で保険請求した患者数は推計約95万4000人。一方、ねん挫と打撲を含む「骨折以外のけが・やけど」で整骨院や接骨院などに通っている患者は約10万8000人にとどまり、厚労省は「腰痛など保険外の請求がかなり含まれている疑いが強い」とみている記事をのせている。この時点で通院者は11万人に満たないが全体の保険支払額は年間2700億円を超えているとされている。

当時でも厚労省は2001年10月、国民健康保険などに出された支給申請書約96万枚のうち約5万枚を調べた結果、体の3カ所の手当てをしていたのが30.8%、4カ所は8.7%あり、合わせて全体の39.5%を占めたとしている。3カ所以上の請求は年々増えており、1998年度に28.4%だったのが、2001年度には39.5%になっており、4カ所の請求は1998年度は4%だったのが、2001年度は倍以上の8.7%に増えたとしている。

このような状況なら、何か所の請求でも同額に減算するのも不正請求の再発防止にはいいのかもしれない。

ちなみに、柔道整復師に認められている受領委任払いがあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師に認められていないことは不合理な差別的扱いではないと平成16年の1月に判決がされており、その判決文でも「柔道整復師は、医師の同意を得た場合のほか、脱臼又は骨折の患部に施術をしてはならない。ただし、応急手当てをする場合は、この限りではない(17条)。なお、柔道整復とは、骨、筋、関節等に各種の外力が加わることにより生ずる骨折、脱臼、打撲、捻挫の患部を整復することである(乙①A4)。」と記載されている。

今後も朝日新聞、毎日新聞の追跡記事を期待したい。

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コメント

全く同感です!!
この問題に加えて、民主党が柔道整復師の業務にレントゲン撮影を加えようとしています。正に党を挙げてこれを立法化しようとしています。
医師法や診療放射線技師法などとの整合性をどのように考えての事なのか、全く理解出来ませんし、何よりもX線撮影を行う事の意味は、即ち、診断です。そもそも診断とは医師の業務です。
更に加えて、彼らは代替医療も保険適応の枠組みに認めろ!と活動しています。勿論、柔道整復師の更なる業務拡大も含めてですが、カイロ、ひどいものでは、アーユルベーダ、アロマテラピーにまで及びます。
もうここまでくれば、開いた口が塞がりませんでした。
嘘のような話ですが、数人の民主党国会議員が本気でやってます。以前、直接メールを送り、何故?そのように思うのか?と趣旨を聞いたところ、回答は「現行の西洋医学では、医療に対する患者さんの不安や不信が解消できないから」との事でした。
ここまで来たら、物も言えませんでした。

長々と書き込み、すみませんでした。

投稿: 安藤 | 2008年11月11日 (火) 17時56分

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